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「すべてに耳を傾けて得た結論。『神を畏れ、その戒めを守れ。』これこそ、人間のすべて」(旧約聖書 コヘレトの言葉第12章13節・新共同訳)

結論

  •  一大決心をして聖書を読もうと思い、開くものの、何が書いてあるのかわからず、すぐに眠気が差してくる。そんな人はおられないでしょうか。

     学生時代、課題を提出する際、本来すべての資料に目を通さなければならないのですが、「結論」だけを読んで、なんとか形にしたようなことが何度となくありました。が、実は、ありがたいことに、聖書にも「結論」があるのです。冒頭の聖句のコヘレトとは伝道者という意味ですが、このコヘレトは、私たちの大好きな「結論」を記してくれているのです。

     「書物はいくら記してもきりがない。学びすぎれば疲れる。すべてに耳を傾けて得た結論」。なんとも心地よく、こきみよく、ありがたい言葉です。コヘレトが、様々な知恵、知識を身に積み、先人たちの言葉や第三者からのアドバイスを分析し、自分自身で実践し、体験していった事柄の結論を語ってくれています。

     断捨離(だんしゃり)という言葉をご存じでしょうか。簡単に言うと、「必要なもの以外は捨てろ」という意味です。司馬遼太郎が『街道をゆく』の『モンゴル紀行』で、遊牧民を「奇跡的なほど物欲が少ない」と評していますが、今でも彼らは余計なモノは一切持たずに生活しています。私たちにしてみれば、これは驚きだと思います。しかも、モノがあふれた国よりも、モノをもたない国の人たちのほうがはるかに幸福度が高いのです。

     私たちはいつの間にか、自分の満足のために身につけたもので身動きがとれない状態になっています。あれもこれもと身につけた結果、豊かになるどころか、逆に、「自分が何をしたいのかわからない」「自分の生き方が見いだせない」と心に迷いが生じ、悩むようになるのです。おそらくは、そのまま修正しなければ、自分の歩み方もぶれていくに違いありません。

     では人間とは、人生とは一体何なのでしょうか。その時こそ、心して「結論」を読むべきです。コヘレトは「『神を畏れ、その戒めを守れ』。これこそ、人間のすべて、人間の本分である」と、私たち人間の最も柱となる結論を、そのように導き出しています。神を心の柱とし、神の意志にそって生きる、それが人間本来の生き方でなければならないのです。